高校現代文の問題5題【大学入試レベル】

現代文とは、明治以降の口語体で書かれた評論・小説・随筆を読解する高校国語の必修分野です。大学入試では論理的思考力と語彙力が問われます。本サイトでは、大学入試レベルの高校 現代文 問題 無料を5題収録しました。哲学・思想/科学/社会・経済/文化・芸術/心理・教育の幅広い分野から、評論・随筆のオリジナル文章(400〜600字)を用意し、傍線部の意味・内容一致・要旨把握など多角的な設問4問を付けています。現代文 問題 無料で取り組めて、解答解説は折りたたみ式で表示されます。

第1問:哲学・思想

テーマ:言葉と思考の関係/共通テスト基礎

言葉は単なる伝達の道具ではない。人は言葉によって世界を切り分け、それによって認識を可能にしている。たとえば日本語の「青」は、英語の blue にはない範囲を含む。信号機の進行可能を示す色を「青信号」と呼ぶが、実際の色は緑に近い。それでも私たちが違和感なく「青」と呼べるのは、日本語の色彩語彙が緑と青を厳密に区別してこなかった歴史を引き継いでいるからだ。

言語が違えば、世界の見え方も少し変わる。色だけではない。時間の感覚、家族関係の名づけ、感情の細やかな分類――これらすべてに言語による区別の方法が反映されている。私たちが何かを「見える」と思うとき、実はその見えの中に、母語の枠組みが透明な構造として埋め込まれている。

しかし、これは言語が思考を完全に決定するという意味ではない。新しい概念に出会えば、人は新しい言葉を作ることができる。「コンピュータ」「環境問題」「ジェンダー」――これらはすべて、現実の必要に応じて言語の側が世界に追いついた例である。言葉と思考は一方通行ではなく、互いに作用し合って文化を育てている。

結局のところ、言葉は世界を映す鏡であると同時に、世界を新しく作り直す道具でもある。私たちは言葉に縛られている一方で、言葉によって自由を得ている。この往復運動の中に、人間という存在の特質がある。

問1傍線部「言葉によって世界を切り分け」とは、どのようなことか。最も適切なものを選べ。

  • ① 世界の物事に名前を付けて他人に伝える
  • ② 言語ごとに異なる区分で世界を認識すること
  • ③ 母語以外の言語を学んで視野を広げる
  • ④ 言語学者が世界の語彙を分類する
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解答② 言語ごとに異なる区分で世界を認識すること

本文「人は言葉によって世界を切り分け、それによって認識を可能にしている」「言語が違えば、世界の見え方も少し変わる」より。

問2筆者は「青信号」の例で何を示そうとしているか。

  • ① 日本人は色覚が独特だ
  • ② 実際の色と言葉の名前は必ずしも一致しない
  • ③ 信号機の色は世界共通である
  • ④ 英語の blue は曖昧である
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解答② 実際の色と言葉の名前は必ずしも一致しない

「実際の色は緑に近い」が「青と呼べる」ことから、言葉が現実をそのまま反映しないことを示している。

問3本文中で筆者が言う「言葉と思考の関係」として最も適切なものを選べ。

  • ① 言葉が思考を完全に決定する
  • ② 思考が常に言葉に先行する
  • ③ 言葉と思考は相互に影響し合う
  • ④ 言葉と思考は無関係である
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解答③ 言葉と思考は相互に影響し合う

「互いに作用し合って文化を育てている」「往復運動」より③。

問4本文の主題として最も適切なものを選べ。

  • ① 日本語の特殊性
  • ② 言語学習の重要性
  • ③ 言葉が世界認識に果たす二重の役割
  • ④ 翻訳の難しさ
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解答③ 言葉が世界認識に果たす二重の役割

鏡と道具の二面性、縛りと自由の往復運動から、③が中心主題。

第2問:科学・テクノロジー

テーマ:AIと人間の創造性/共通テスト相当

人工知能が文章を書き、絵を描き、音楽を作るようになった。この急速な変化は、人間の創造性とは何かという根本的な問いを私たちに突きつけている。AIが小説を書けるなら、もう人間の作家は要らないのだろうか。AIが絵を描けるなら、画家は仕事を失うのだろうか。

しかし、注意深く考えるべき点がある。AIが生み出すのは、過去の膨大なデータから学習したパターンの組み合わせである。それは確かに「新しい組み合わせ」かもしれないが、本当の意味で「新しい問い」を立てているわけではない。AIは答えを生成するが、まだ何を問うべきかは決められない。

人間の創造性の核心は、誰も気づいていなかった問題を発見する力にある。なぜこれは美しいのか。なぜ私たちはこれを正しいと感じるのか。なぜこの社会はこのような形になっているのか。これらの問いは、与えられた選択肢の中から選ぶ作業ではない。問いそのものを作り出す作業だ。

AIの登場によって失われるのは「答えを出す仕事」であり、生まれてくるのは「問いを立てる仕事」だろう。技術が進歩するほど、人間に求められるのは、より深く、より本質的な問いを見つける能力になる。AIを敵視するのではなく、道具として使いこなしながら、人間にしかできない領域に集中する――この姿勢こそが、これからの時代の創造性の鍵となる。

問1傍線部「本当の意味で『新しい問い』を立てているわけではない」とは、どういうことか。

  • ① AIには感情がないから問いを生み出せない
  • ② AIは過去のデータからパターンを組み合わせるだけで、未知の課題を発見はしない
  • ③ AIは人間ほど速く問いを立てられない
  • ④ AIの問いは難解すぎて理解できない
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解答② AIは過去のデータからパターンを組み合わせるだけで、未知の課題を発見はしない

本文「過去の膨大なデータから学習したパターンの組み合わせ」「まだ何を問うべきかは決められない」より。

問2筆者の考える「人間の創造性の核心」は何か。

  • ① 速く正確に答えを出す力
  • ② 誰も気づいていなかった問題を発見する力
  • ③ 美しい絵や音楽を作る技能
  • ④ 他人と協力する社会性
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解答② 誰も気づいていなかった問題を発見する力

「人間の創造性の核心は、誰も気づいていなかった問題を発見する力にある」より直接表現。

問3AIの登場によって筆者が予想する変化として、本文に書かれているものを選べ。

  • ① 人間の仕事はすべて消滅する
  • ② AIが完全に人間を超える
  • ③ 「答えを出す仕事」が失われ「問いを立てる仕事」が生まれる
  • ④ AIが人間を支配する
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解答③ 「答えを出す仕事」が失われ「問いを立てる仕事」が生まれる

「失われるのは『答えを出す仕事』であり、生まれてくるのは『問いを立てる仕事』」より直接表現。

問4本文の主旨に最も近いものを選べ。

  • ① AIは脅威なので使うべきではない
  • ② AIと人間は競合する関係にある
  • ③ AIを道具として、人間は本質的な問いを立てる役割に集中すべきだ
  • ④ AIの発展を法律で制限すべきだ
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解答③ AIを道具として、人間は本質的な問いを立てる役割に集中すべきだ

「敵視するのではなく、道具として使いこなしながら、人間にしかできない領域に集中する」より。

第3問:社会・経済

テーマ:贈与経済と現代社会/私大上位レベル

現代社会のほとんどの取引は、お金という共通の尺度で行われる。商品を買うとき、サービスを受けるとき、私たちは対価を支払う。この交換関係は明快で、貸し借りを残さない。ところが人類学者たちは、貨幣が発達する以前の社会では、贈与という別の経済原理が中心であったことを明らかにしてきた。

贈与経済とは、贈り物のやり取りによって人と人をつなぐ仕組みである。誰かに何かを贈ると、贈られた側にはお返しをする責任が生まれる。しかしそのお返しは、すぐに同等のものでなされるわけではない。時間をかけ、別の機会に、別の形で返される。重要なのは、この時間差と非対等性が、人と人の関係を持続させる力になることだ。

貨幣による取引が瞬時に関係を解消するのに対して、贈与は関係を結び続ける。商品を買えば、店との関係はそこで終わる。しかし誕生日プレゼントを贈れば、相手との関係は続く。「いつかお返しを」という未完了の感覚こそが、贈与経済の本質である。

現代社会でも、家族・友人・地域共同体の中では今なお贈与が機能している。ボランティア、寄付、SNSでの「いいね」も、実は贈与の現代的な形であろう。人間関係は対価だけでは成り立たない。市場経済の効率性と、贈与経済の持続性――この二つを使い分けることが、豊かな社会の条件なのである。

問1傍線部「貸し借りを残さない」交換関係の特徴を、本文に即して正しく説明したものを選べ。

  • ① 共通の尺度であるお金で対価を支払い、その場で関係が完結する
  • ② 信頼関係に基づいて長期的に取引する
  • ③ お互いに違う品物を物々交換する
  • ④ 支払いを後日に延ばすことができる
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解答① 共通の尺度であるお金で対価を支払い、その場で関係が完結する

「お金という共通の尺度で行われる」「対価を支払う」「貸し借りを残さない」より。

問2贈与経済の特徴として、本文中で筆者が強調しているのはどれか。

  • ① 贈り物が高価であること
  • ② 時間差と非対等性によって関係を持続させる
  • ③ 贈られた側が必ず同等の品で返す
  • ④ 贈与は法律で規定されている
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解答② 時間差と非対等性によって関係を持続させる

「時間差と非対等性が、人と人の関係を持続させる力になる」より直接表現。

問3筆者が現代社会で贈与が機能している例として挙げているものに当てはまらないものを選べ。

  • ① ボランティア
  • ② 寄付
  • ③ 誕生日プレゼント
  • ④ コンビニでの買い物
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解答④ コンビニでの買い物

「家族・友人・地域共同体」「ボランティア、寄付、SNS」が挙げられている。コンビニは市場経済の例。

問4本文全体の主張として最も適切なものを選べ。

  • ① 市場経済を完全に廃止すべきである
  • ② 贈与経済こそ理想の社会だ
  • ③ 市場経済と贈与経済を使い分けることが豊かな社会の条件だ
  • ④ 現代社会から贈与は消滅した
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解答③ 市場経済と贈与経済を使い分けることが豊かな社会の条件だ

最終段落「市場経済の効率性と、贈与経済の持続性――この二つを使い分けることが、豊かな社会の条件」より。

第4問:文化・芸術

テーマ:日本美の特徴/私大上位〜国公立2次レベル

日本の美意識を語るとき、しばしば「侘び」「寂び」という言葉が使われる。これらは西洋の美の概念――たとえば古代ギリシアの黄金比に代表される完璧な調和――とは性質を大きく異にする。日本美の中心にあるのは、欠けているものに価値を見出す視線である。

茶碗の例を考えてみよう。完璧な円形の磁器ではなく、わずかに歪んだ手作りの茶碗が珍重される。長く使われた茶碗の表面には貫入とよばれるひび模様が走る。それは欠陥ではなく、時間の積み重ねを記す美しさとして受け止められる。同じ茶碗でも、新品より使い古された方が価値が高くなることがある。

この感性は、自然との関係にも反映されている。満開の桜は確かに見事だが、日本人はしばしばそれよりも、散り際の桜を美しいと感じてきた。完成した状態よりも、移ろいゆく途中、消えゆく直前にこそ深い美がある――この感覚は、日本の和歌や俳句、能や水墨画の中に脈々と流れている。

なぜ日本人は不完全さを愛するのか。ひとつの解釈は、自然災害が多く、移ろいやすい風土の中で、変化と消滅を受け入れる文化が育ってきたというものだ。完璧で永続的なものを追い求めるよりも、変わっていくものの一瞬の美を捉える方が、実生活と矛盾しない。日本美は、生きることの哲学そのものを反映している。

問1傍線部「欠けているものに価値を見出す視線」とは、本文の文脈ではどのような態度を指すか。

  • ① 欠けた商品を安く買おうとする態度
  • ② 完成・完璧ではない不完全さに美しさを認める態度
  • ③ 失われた古い文化を惜しむ態度
  • ④ 西洋の美よりも日本の美を優れていると見る態度
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解答② 完成・完璧ではない不完全さに美しさを認める態度

「日本美の中心にあるのは、欠けているものに価値を見出す視線」「不完全さを愛する」より。

問2筆者は茶碗の貫入について、どう述べているか。

  • ① 欠陥として除去すべきもの
  • ② 時間の積み重ねを記す美しさ
  • ③ 高価な装飾の一種
  • ④ 茶道の儀式で使う道具
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解答② 時間の積み重ねを記す美しさ

「貫入とよばれるひび模様」「時間の積み重ねを記す美しさとして受け止められる」より。

問3筆者の挙げる「散り際の桜」の例は、どんな美意識を示しているか。

  • ① 華やかさよりも控えめな美
  • ② 完成より移ろいの中の一瞬の美
  • ③ 古典文学の伝統美
  • ④ 日本独自の植物観
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解答② 完成より移ろいの中の一瞬の美

「完成した状態よりも、移ろいゆく途中、消えゆく直前にこそ深い美がある」より直接表現。

問4筆者が考える日本美の背景にある条件は何か。

  • ① 長い鎖国の歴史
  • ② 自然災害が多く移ろいやすい風土
  • ③ 宗教的な戒律
  • ④ 海外との貿易が遅れたこと
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解答② 自然災害が多く移ろいやすい風土

「自然災害が多く、移ろいやすい風土の中で、変化と消滅を受け入れる文化が育ってきた」より。

第5問:心理・教育

テーマ:学習における失敗の意義/国公立2次相当

現代の教育は、しばしば「失敗させない」ことを目標としてきた。テストでよい点を取らせ、つまずきを早期に発見して補習を行う――この方法は確かに短期的な成果を上げる。しかし最近の認知科学の研究は、別の角度から学習を見直す必要があることを示している。

失敗から学ぶ力こそが、長期的な成長を支えるというのである。脳は、予想と現実がずれたとき、その違いを修正するために強く反応する。これを「予測誤差」と呼ぶ。問題を解いて間違えたとき、脳内では正解を覚えるよりも長く記憶に残る学習プロセスが起動している。失敗は、忘れにくい記憶を作る最も効果的な方法のひとつなのだ。

ところが、現代の競争的な学校環境では、失敗は罰されるべきものとして扱われがちだ。子どもは間違えることを恐れ、安全な答えだけを選ぼうとする。テストの点数は上がるかもしれないが、それは表面的な暗記であり、応用が効かない知識である。本当に深い理解は、自分の予想を裏切られた瞬間にしか生まれない。

教師にも保護者にも、子どもの「間違い」を歓迎する姿勢が求められている。「なぜそう考えたの?」と問うこと、その思考過程を一緒にたどること、そして次の挑戦へ送り出すこと――これらが、知性を育てる最も確かな道筋である。失敗を許容しない教育は、結局のところ、深い学びを許容しない教育なのである。

問1傍線部「予測誤差」とは、本文中ではどのような現象を指すか。

  • ① テストの結果が予想を下回ること
  • ② 脳が予想と現実のずれを修正するために強く反応すること
  • ③ 教師が間違った指導をすること
  • ④ 問題の難易度を誤って設定すること
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解答② 脳が予想と現実のずれを修正するために強く反応すること

「脳は、予想と現実がずれたとき、その違いを修正するために強く反応する。これを『予測誤差』と呼ぶ」より直接表現。

問2筆者は、現代の競争的な学校環境について、どう批判しているか。

  • ① 勉強時間が短すぎる
  • ② 失敗を罰し、安全な答えを選ばせる傾向がある
  • ③ 教師の数が足りない
  • ④ テストが多すぎる
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解答② 失敗を罰し、安全な答えを選ばせる傾向がある

「失敗は罰されるべきものとして扱われがち」「子どもは間違えることを恐れ、安全な答えだけを選ぼうとする」より。

問3「本当に深い理解は、自分の予想を裏切られた瞬間にしか生まれない」とあるが、その理由として適切なものを選べ。

  • ① 挫折は人を成長させるから
  • ② 予測誤差が脳に強い学習プロセスを起こすから
  • ③ 教師から叱られると緊張するから
  • ④ 間違いは恥ずかしい記憶として残るから
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解答② 予測誤差が脳に強い学習プロセスを起こすから

本文「失敗は、忘れにくい記憶を作る最も効果的な方法のひとつ」が予測誤差のメカニズムと結びつく。

問4本文最終段落で筆者が教師・保護者に求めている姿勢として、最も適切なものを選べ。

  • ① 子どもを叱らないこと
  • ② 子どもの間違いを歓迎し、思考過程を一緒にたどること
  • ③ 正解を素早く教えること
  • ④ テストを廃止すること
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解答② 子どもの間違いを歓迎し、思考過程を一緒にたどること

「子どもの『間違い』を歓迎する姿勢」「『なぜそう考えたの?』と問うこと、その思考過程を一緒にたどること」より直接表現。

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現代文の問題サイトとしての使い方

本ページは、共通テスト・私大入試・国公立2次に対応する現代文 問題 サイトとして設計しています。志望校の出題傾向に合わせて活用してください。

共通テスト対策の解き方

共通テストの現代文は、選択肢を素早く絞り込む力が問われます。第1〜2問(評論文)を1題15〜20分で解き、傍線部に対応する本文の根拠を1文単位で特定する練習を重ねてください。選択肢同士の細かな違いを比較する習慣も、得点を安定させる近道です。

私大入試対策の解き方

私大入試では、漢字・語彙・文学史と長文問題が複合する形式が中心です。第3〜4問の評論を使い、語彙力・接続詞の判別・指示語の照応に注目しながら読み進めてください。本文中の対比構造(A↔B)を捉える練習が、選択肢の絞り込みに直結します。

国公立2次対策の解き方

国公立2次は記述問題が中心です。第5問のような骨太な評論を使い、各段落の要旨を1文で要約する「段落要約読み」を実践してください。設問の要求語数を意識して、本文中のキーワードを盛り込む答案構成力が、合格水準の答案を支えます。